2016年に購入し毎日使っていたiMac(Retina 5K、27-inch、Late2015)ですが、突然、進入禁止マークが出て、起動しなくなってしまいました。
Appleのサポートページに従ってOSの復元など実施してみましたが、Fusion DriveのHDDが壊れているようで、仮復旧させても少し時間経つと勝手に再起動してしまいます。
※Fusion Drive = iMac、Mac miniで採用されているデータの読み書きが早いSSDと大容量のHDDを合わせたストレージ。頻繁に読み書きするOSなどをSSDに、データをHDDに保存し、SSDより安価で、HDDより高速なストレージを実現している。
色々と調べ、最終的に壊れているHDDを交換することにしましたが、せっかくなので、SSDに入れ替えて、オリジナルより速いiMacになった状態で復旧する事にしました。
HDDの交換作業は自分で実施するのは大変そうだったので、Macの修理業者さんにお願いしました。
今回の一連の顛末を紹介します。
iMacが進入禁止マークで起動しなくなった
4年ほど仕事に毎日使っていたiMacですが、ある日突然、起動しなくなりました。電源を入れると円に斜線のマークでストップします。
Appleサポートページによると、
円に斜線が入ったマークが表示されるのは、起動ディスクに Mac のオペレーティングシステムが入っていても、Mac で使える macOS ではない場合です。
https://support.apple.com/ja-jp/HT210901
何も変更を加えてないのにそうなることはないので?でしたが、とりあえず、サポートページの指示通り復旧を試みました。
起動ディスクの修復→NG
MacOSのインターネットからの新規インストール→NG
何度もやりましたが、改善せず。
Fusion DriveのSSD/HDDを一旦初期化してMacOSの再インストールを試みる
ネットの情報に従って、一度FusionDriveのHDD/SSDを初期化してインストールを試みました。
SSDの部分は初期化が出来ましたが、HDDはエラーが出て、初期化が出来ません。
”装置の最後のブロックに書き込めません。:(-69760)”のエラーで止まってしまいます。何度試みても状態は同じです。
ターミナル(コマンドライン)から色々とオプションを変えてフォーマットを試みても同じです。
Fusion DriveのSSD部分のみで稼働を試みる
このiMacは3TBのFusion Driveでしたが、実質は128GBのSSDと3TBのHDD。
HDDが壊れていると想定して、一旦はSSDのみでの復旧を試みました。
SSDを初期化して、OSをインストール。インターネット経由の復旧は何度か失敗しているので、別のMacで作成したUSBのインストールメディアでOSの新規インストールを実施しました。
こちらを参考に実施し、iMacが起動し、使用出来るようになりました。
が、この状態で一度は復旧したと思いましたが、Macを使用していてある程度の時間(30分程度)が過ぎると勝手に再起動がかかります。
再起動後のエラーログをネットで調べてみましたが、ハードディスクのエラーの様子。
“AppleAHCIDiskQueueManager::setPowerState(0xffffff8048894000 : 0xffffff7f8cfab5d2, 3 -> 2) timed out after 100518 ms”@/AppleInternal/BuildRoot/Library/Caches/com.apple.xbs/Sources/xnu/xnu-6153.141.1/iokit/Kernel/IOServicePM.cpp:5296
MacOSエラーメッセージ
Macを起動した際に毎回”セットしたディスクはこのコンピュータで読み取れないディスクでした。”と出るので、今回使用していないHDDが何らかの悪さをしているようです。
起動時に該当ディスクを読み込まない設定が出来るかな、と調べてみましたが、ディスクのマウントまで行きついていないので、難しそう。
HDDの状態を再度確認することにしました。
HDDの状態の確認
いくつかの方法でHDDが本当に壊れているのか確認してみることにしました。
Apple Diagnostics(Apple標準の診断ツール)ではエラー無し
まずは Apple Diagnosticsで確認しましたが、”問題は検出されませんでした”との事。
S.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)
ディスクユーティリティからMac標準のS.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)で確認してもエラー無しです。
フリーソフト”DriveDX”
フリーソフト”DriveDX”で確認したところI/0エラーが出ていました。HDDのエラーについてはこちらの記事を参考にしました。
Appleのツールではハードディスクのエラーは検知出来ないのでしょうか。
悪名高きHDD? SeagateのST3000DM001
このST3000DM001ですが、以前Appleからリコールが出ているほどの悪名高き製品らしいです。
こちらは最終的に取り外した、実際に搭載されていたHDDの写真ですが、2016年7月製造とあります。
2015年に以前のモデル対象にリコールが出ているのに、製造が続けられ、2015年モデルのiMacでも搭載されているのでしょうか。
Mac修理業者に修理を依頼
この状況だとHDDを交換するしか無いと判断しました。まずは自分で出来るか検討しました。
YouTubeの動画などを見ましたが、液晶を丁寧に剥がす必要があり、自分で出来る気がしません。
以前、何度かMacBookProのバッテリー交換を実施しましたが、レベルが違いそう。修理業者にお願いすることにしました。HDD→SSDの交換のみで、設定等は自分で実施することにしました。
Macの修理業者を探す
iMacはかなり重いので、自分で持ち込みが出来そうなあまり遠く無いMacの修理業者を探しました。
いくつか比較した結果、近所に店舗があるリペアマスターさんに持ち込むことにしました。ただ部品の在庫が無いとのことなので、SSDは自分で購入して持ち込むことにしました。
SSDと変換マウンタを購入
SSDはいくつか種類がありましたが、SAMSUNGのV-NAND SSD 860 QVO 1TBが12000円と安かったので、こちらを購入。
3.5インチのHDDへ2.5インチのSSDをマウントする為の変換マウンタ「裸族のインナー」も1000円以下だったので購入しました。
HDD→SSDの交換作業
丁寧な対応の店員さんが受け付けてくれました。iMacは形状的に中にホコリが溜まりやすい感じなので、簡単な内部清掃もお願いしました。
5時間後に作業完了の連絡があり、引き取りへ。作業中の写真を見せてもらいましたが、中にはかなりホコリが溜まっていました。修理の価格は15000円でした。
HDDは専用の機器でテストしたところ、やはり、故障だそうです。交換したSSDも問題なく動作確認済との事。
ちょっと気になったのが、修理の方がこのiMacは2015ではなく、2012では無いかと言われていた事。中身もiMac2012の中身だったそうです。
帰ってMacの”このMacについて”を確認しましたが、2015と表示がありました。Appleから購入したものなので、何だか解せません。
macOSの再インストールとFusion Drive再構成
後はFusion Driveを再構成して、macOSをインストールして完了です。macOSは最新のCatalina。
FusionDriveの再構成は簡単で、すぐに終わりました。
まず、Macの電源を入れて、「Command+R」を押しながらMacの復元から立ち上げます。
ディスクユーティリティを選択し、まずは元から入っていたSSDと今回換装したSSDをフォーマット。
そして、Appleのサポートページを参考にFusion Driveを再構成します。
ユーティリティ→ターミナルを起動して、「diskutil resetFusion」。プロンプトが出てきたら、Yes。これだけです。あっという間に終わりました。
このあとは通常通りmacOSを新規インストールして完了です。
iMacをSSDのFusion Driveで使用してみて
元々128GBのSSD+3TBのFusion DriveのiMacが128GBと1TBのSSDのFusion Driveで復活しました。
体感ですが、明らかに以前より速いです。
中を掃除したこともあると思いますが、AdobeのIllustratorなど重いアプリを使っても、熱を発してFANが回ることもほとんど無くなりました。
今回かかった費用は部品が13000円に作業費が15000円で合計28000円程度。
Appleで修理するとHDD交換で最低限5万円以上のようなので、かなり安く、しかもSSDでパフォーマンスもかなり改善出来ました。
今後Appleでの修理が出来なくなりますが、今までも結果、Appleでの修理は使ったことはなく、修理業者に頼んでいたので、実際は問題ないのかも知れません。
もし参考にされる方がいらっしゃったら自己リスクでお願いします。