日本では肉詰め、サラダの具、青椒肉絲、炒め物の具、そして最近話題の無限ピーマンなどで食されているピーマン。世界ではどのような料理に使われているのか、どのように食べられているのか調べて見ました。
ピーマンの肉詰めは世界中で食べられていますが、焼いたり、煮たりと調理の仕方が地域によって異なったりします。また、ポルトガルではマッサなどペーストに使われていたりします。そして、おなじみのスパイスパプリカは野菜のパプリカが原材料だったりと、地域によって独特な使い方をされています。
この記事を読んでピーマンってこんな食べ方があったんだと思っていただければ幸いです。
日本では別の種類の野菜として売られていますが、同一種の肉厚種のパプリカも一緒に紹介します。
ピーマン、パプリカとは
ピーマンはナス科トウガラシ属の植物でアメリカ大陸原産の唐辛子が品種改良されたもの。大航海時代にコロンブスによってヨーロッパに持ち込まれ、ヨーロッパで品種改良され、辛味が少なめのピーマンとなり、色々な料理に使われるようになりました。日本に伝わったのは明治時代。第二次世界大戦後に一般の食卓に並ぶようになってきました。
日本語のピーマンはフランス語で唐辛子を意味するPimant(ピマン)から来たと言われています。
ピーマンは唐辛子の甘味種(辛く無いもの)で緑色のピーマンだけでなく、赤や黄色のカラーピーマンなどがあります。緑色は未熟なもの、赤いものは熟したものです。
パプリカは1990年台にオランダから輸入されたのを皮切りに広まった肉厚で大型の甘みの強い品種。色もピーマンと同じく、熟成具合によって緑、赤、黄色など色々とあります。
英語でピーマンは何という?
ピーマンはアメリカ英語ではGreen Pepper(グリーンペッパー)またはBell Pepper(ベルペッパー)と言います。そして、イギリスでは単純にPepper(ペッパー)と呼ばれることが多いです。そして、オーストラリア、ニュージーランド、インド英語ではCapsicum(カプシカム)と呼ばれます。
アメリカだと日本のピーマンに近いのがGreen Pepper。Bell Pepperは日本のパプリカに近いイメージがありますが、同義に使われていることもあります。また、パプリカはSweet Pepperと呼ばれることもあるので、なかなか難しいところです。
また、各国で呼び名が違うので一概には言えませんが、日本以外でPaprika(パプリカ)と言うと、スパイスのパプリカを意味することが多いようです。
ピーマンの主な料理での使われ方
生で
日本では苦味がある為、加熱して食べられることが多いピーマンですが、品種によって生で食べられることもあります。
欧米のレストランやスーパーのサラダバーでは食材の一つとして見かける事が多いです。
サラダ
生での場合は、千切りや輪切りにしてサラダに入れることが多いです。
生ピーマンつくね
日本でも生で食べる名物料理がありました。孤独のグルメでも紹介された生ピーマンつくね。
生のピーマンの上につくねを乗せた料理ですが、冷やしたピーマンのカリッとした食感と苦味がつくねにぴったりでビールが進みます。東京都江東区門前仲町の居酒屋庄助が発祥ですが、孤独のグルメで紹介されてからか、各地に広まっているようです。
パリパリピーマン
こちらは福岡の居酒屋で人気のパリパリピーマン(冷やしピーマン)。氷水に一晩以上浸けて苦味がぬけてパリッとしたピーマンを生で肉味噌と食べます。
炒める
ピーマンは油で炒めるとシャキッとして、苦味も和らぎ、甘みも出てくるので炒めものに向いている野菜です。
日本では野菜炒めやスパゲッティ・ナポリタンの具として定番です。
青椒肉絲:中国→日本、アメリカ、中南米など
青椒肉絲(チンジャオロウスー、チンジャオロース)とはピーマンと豚肉又は牛肉の細切りを炒めた料理。日本では定番の中華料理ですが、実は日本だけでなく世界中に広まっている料理です。
日本では牛肉、たけのこを使い、オイスターソースベースにするバリエーションが特にポピュラーです。
アメリカや中南米ではPepper Steak(ペッパーステーキ)としてアメリカ独自に発展した中華料理の定番です。
アメリカのバージョンでは大きめに切った牛肉、玉ねぎ、ピーマンを炒めてとろみをつけた醤油ベースのソースでご飯とあわせます。中南米ではそこにフライドポテトを一緒に盛り合わせることもあります。
地三鮮:中国
地三鮮とはナス、ジャガイモ、ピーマンを炒め揚げにして、醤油ベースのソースを絡めた料理。
ご飯が進む中国の家庭料理です。たっぷりの油でシャキッとしたピーマンが必須の料理。
それ以外にも、アメリカでは牛肉と溶けたチーズが美味しいサンドイッチPhilly Cheese Steakの定番の具になっていて、玉ねぎ、牛肉と一緒に炒めた具に入っている事が多いです。
煮込み、スープ
ラタトゥイユ(Ratatouille):フランス
ラタトゥイユはフランスのトマト、ピーマン、ナス、ズッキーニ、玉ねぎなどの夏野菜の煮込み。フランスのプロヴァンス地方、ニース地方の郷土料理ですが、世界で幅広く食べられています。
スペイン・フランスのバスク地方ではPiperade(ピペラード)として違うバリエーションが知られています。ラタトゥイユとの違いとして、ピぺラードはズッキーニを使わないそう。
ピぺラードには生ハム、卵を入れたりと色々とバージョンがあります。
ガスパチョ(Gazpacho):スペイン
ガスパチョはスペインの夏の定番の冷製スープ。
トマト、きゅうり、玉ねぎ、にんにく、そしてピーマンなどの野菜とパン、白ワインビネガー、塩胡椒をミキサーで攪拌して作られます。ピーマンの苦味が爽やかです。
グリーンカレー:タイ
爽やかな辛さが美味しいタイ料理の定番グリーンカレー。鶏肉、タケノコ、ナスとともにピーマンかパプリカを具として入れる事が多いです。
それ以外のカレーではインドではベジタリアンのカレーCupsicum Masala Curry(カプシカムマサラカレー)などもあります。
グリル、ロースト
パプリカのグリル(Peperoni Arrostiti):イタリア
イタリア南部の前菜です。緑、赤、黄色などのパプリカを表面が焦げるまでオーブンなどで焼いて、ホイルなどに包み、冷めたものをオリーブオイルでマリネしたもの。
ファヒータ(Fajita):メキシコ、アメリカ
牛肉や鶏肉、玉ねぎ、ピーマンをグリルで焼いて、トルティーヤに包んで食べるメキシコ、アメリカのメキシコ料理の定番Fajita(ファヒータ)。玉ねぎの甘み、ピーマンの食感がお肉と合う料理です。
ピーマンはそのままオーブンでグリルしたり、炭火で焼いても美味しいので、色々な料理に使われています。日本ではそのまま焼き鳥の串で出されたりもしています。
ピーマンの肉詰め(Stuffed Pepers)
ピーマンの肉詰め焼き:日本
日本の洋食の定番、ピーマンの肉詰め。
ピーマンを半分に切って、味付けしたひき肉を詰めて、小麦粉をまぶしてフライパンで焼いて、ケチャップ、醤油ベースのタレを絡めた料理です。
ピーマンの肉詰め煮:トルコ、ロシアなど
日本以外ではピーマンの肉詰めは、ひき肉と米などをピーマンに詰めてトマト風味のスープで煮込むことが多いです。
トルコではビベル・ドルマス(Biber Dolmasi)と呼ばれ、お惣菜屋さんの定番。ロシア、ウズベキスタンではガルプツィと呼ばれています。
アメリカなどではチーズを加えたりするバリエーションもあります。
揚げる
パドロンペッパー(タパス):スペイン
日本のシシトウに似たパドロンペッパーを揚げたものはスペインの伝統的なタパスの一つです。オリーブオイルで素揚げされ、シーソルトをかけてシンプルに食べられます。
日本でも素揚げにして、付け合わせにしたり、天ぷらの具に使われることもあります。
和える
ししとうのムチム(韓国)
ししとうに小麦をまぶしてから蒸し、韓国のピリ辛調味料ヤンニョム(唐辛子、ごま油、醤油、にんにく、ネギ、ごまなど)で和える料理です。
ソース、ディップ
ピメントチーズ:アメリカ
ピメントチーズはスペイン産の辛くない赤い唐辛子ピメント、チーズ、マヨネーズなどと合わせて、クラッカーと食べたりパンに塗ったりするディップ。ゴルフのマスターズではピメントチーズのサンドイッチが名物だそうです。
ロメスコソース
ロメスコソースは赤パプリカ、ナッツ、トマトを材料にしたスペインバルのソース。グリルした肉やフライなどに合わせます。
マッサ(Massa de Pimentao):ポルトガル
Massa de Pimentao(マッサ・デ・ピメンタオ)は少し前に流行ったポルトガルの赤パプリカと塩だけで作ったペースト。日本ではマッサ、と呼ばれている事が多いかも。ポルトガルの定番料理豚肉とあさりのアレンテージョ風などに使われます。
ピキージョ:スペイン
ピキージョ(Piquillo)はスペインのピキージョ種の赤ピーマンを炭火焼にし、表面の薄皮を取り水煮にしたもの。缶詰や瓶詰めで売られています。
そのままおつまみとして食べられたり、チーズやツナ、タラなどを詰めてタパスに使われたりとスペインでは定番の食材です。
アイバル(ajvar):セルビア
アイバル(Ajvar)は主に赤パプリカと油から作る調味料の一種。古くからセルビアなどバルカン諸国で食べられており、セルビアではサラダなどに使われている定番調味料。今は東南ヨーロッパ全般で食べられています。
スパイス
パプリカ(スパイス):ハンガリー
世界中で使われているスパイスパプリカは野菜のパプリカを乾燥させてパウダーにしたハンガリー発祥のスパイス。赤い色と独特の甘みが特徴で、ハンガリーの煮込み料理グーラッシュ、チキンのパプリカなどの煮込みに使ったり、サラダ、スープ、卵、ポテトなどに振りかけて赤色のアクセントにしたりと、使い道の多いスパイスです。
ハンガリーでは甘い唐辛子、辛い唐辛子も合わせて、パプリカと呼んでいるので、スパイスパプリカにはチリパウダーに近い辛めのものもあります。また、一旦パプリカを燻製にしてから乾燥させてパウダーにしたスモークパプリカもスペイン、アメリカなどではよく使われています。
最後に
ピーマンの栽培
ピーマン、パプリカはどこのスーパーでも一年中手に入る野菜ですが、ベランダで簡単に栽培出来ます。写真は去年の様子です。うちでは毎年春から夏にかけて育てていますが、毎週何個かは収穫して、ピーマンの料理をしていたので、数十個は採れていたと思います。大きめのプランターに良い苗を植えて、水と肥料を定期的にやるだけで他の野菜と比べると比較的に簡単に育つので、家庭菜園初心者にもおすすめです。
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ふるさと納税でピーマンをお得に
日本各地で栽培されているピーマンですが、ふるさと納税のお礼品として提供している自治体もあります。
高知県土佐市は1万円の寄付で3kgのピーマンが送られてきます。
結構な量のピーマンですが、冷蔵庫の野菜室に保管しておけば持ちは良いです。
参考: